喪服を既に1着持っていて何度か着たことがある人はおわかりになるでしょうが、真夏になると「暑くて喪服なんて着ていられないのでは」と悩む人も多いものです。
喪服はやや厚手の布地で、シャツの上にジャケットを重ねるタイプですから、気温が30度を超える日に着ると汗だくになってしまいます。
では夏に喪服を着る場合は、どのような暑さ対策ならマナー違反にならないのでしょうか?また、夏用の喪服も用意しておくべきなのでしょうか。詳しく説明します。
【男性編】夏の喪服のマナーをきちんとおさえておこう
気温による暑さについては自然現象ですから、自分では操作をすることはできません。それに葬儀の日付は決まっているので、「涼しい季節に開催しよう」という理由で日程を決めることはできないものです。
そのため、暑さを凌ぐために秋冬の着方とは違う方法で葬儀に出席しても問題ないと考えている人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。
夏場に喪服を着るときでもきちんとマナーをまもる必要がありますので、ポイントを絞ってご紹介します。
暑くても露出は避けること
気温が高い日に長袖のジャケットやシャツを着るとどうしても暑さを感じるので、少しでも涼しくしようと腕まくりをする人もいるかもしれません。
しかし、葬儀は夏場でも肌を露出することは禁止されているので、腕をまくるのは禁止されています。
普段から仕事でスーツを着ている人は、ついうっかり癖で腕をまくってしまわないよう注意してください。
シャツのみで参列するのはNG
ジャケットとシャツを重ねるのが暑いと感じると、ジャケットを脱いでシャツのみで参加したいと思うでしょう。
長袖シャツなら肌を露出していないので、一見マナー違反ではない気がします。しかし、男性の場合はジャケットとシャツをセットで着用することがマナーなのです。
ジャケットの下に着るシャツは半袖シャツでも構いません。ジャケットを脱ぐのはNGなので、そこだけは注意するようにしましょう。
ネクタイは緩めずしっかりと
近ごろはサラリーマンやサービス業でも「クールビズ」で仕事をするのが一般的になってきました。
クールビズでは、夏の間のみジャケットやネクタイを着用せず、シャツ1枚で仕事をします。
では、葬儀の場合はどうでしょうか。言わずもがな、たとえ気温が40度近くになる真夏だとしても、ノーネクタイはマナー違反になるのでNGです。
首元が暑いからと言って、ネクタイを緩めるのも場に相応しくないので、秋冬の葬儀どおり、黒いネクタイをきちんと着用してください。
家を出てからずっとジャケットを着用しないといけない?
夏の葬儀でよく疑問に思われるのが、「家を1歩出たら、葬儀を終えて帰宅するまでずっとジャケットを着ていなければならないのか」という点です。
葬儀会場まで車で行く人はシャツでも問題ないでしょうが、公共交通機関の利用と徒歩で向かう場合、ジャケットとシャツの重ね着ではさすがに耐え難いものがあります。
そのため、会場に入るまで、もしくは受付に並ぶときまでは、ジャケットを脱いでもマナー違反にはなりません。
ただし、半袖シャツの着用は厳密に言うと正装ではないため、会場に着く少し前からジャケットを羽織っておいたほうが、周りの人の目を気にしなくて済むので参考にしてください。
【男性編】マナー違反になってない?夏用の喪服を選ぶときのポイント
ここまで説明したように、たとえ酷暑と呼ばれるぐらいに暑い日だったとしても、男性の場合はジャケットとシャツを着用しないと、マナー違反の喪服となってしまいます。
しかし、実は喪服には3シーズン用、つまり春秋冬用のものと、夏用のものと2種類あるのです。夏用の喪服なら3シーズン用の喪服よりも涼しいですから、夏用の喪服を選ぶときのポイントを知って、ぜひ購入しておきましょう。
「夏用」と書かれた喪服を購入する
喪服は3シーズン用がほとんどですが、見た目では夏用のものと区別が付きにくいこともあります。
タグにどの季節用なのか書かれていないこともあるので、パッと見ただけではどれが夏用の喪服なのか分からないかもしれません。
そのようなときは、お店のスタッフさんに質問するか、背中の裏地がついているかどうかをチェックしてみてください。
夏用の喪服は一般的に背中の裏地をなくし、風通しをよくすることで暑さが凌げる構造になっています。背中の裏地がなければ夏用の喪服と判断できますので、迷ったときの判断基準にしましょう。
サイズに少し余裕があるものを選ぶ
夏用の喪服を購入しても、サイズがぴったり過ぎては通気性が悪くなり、裏地がなくても背中部分が蒸れやすいので注意が必要です。
適度に風通しをよくするには、少し余裕があるサイズを選ぶのがポイントです。ただし、あまりに大きいとだらしなく見えてしまうので、普段より1サイズ上ぐらいを目安にするとよいでしょう。
シャツは汗を吸い取りやすい素材のものを選ぶ
通気性がよい喪服でも全く汗をかかないわけではないので、汗を吸い取りにくい素材のシャツを着てしまうと、背中や脇がベタベタしてとても不快です。
そこでおすすめなのが「ポリエステル」を多く含んだシャツとなります。ポリエステルは汗を吸収しやすい編み方なだけでなく、乾きやすいという特徴があるので、大量に汗をかいてもベタつきが少ないのが特徴です。
吸水性は綿のほうが優れていますが、一度繊維が水を含むと乾きにくいというデメリットがあるので、「ポリエステル:綿=8:2」前後の割合のシャツを選ぶとよいかもしれません。
【男性編】喪服は冬用とは別で夏用を持っておくべき
「夏に喪服を着ることになったらレンタルで済ませばよいのでは」と、なかにはこのように思う人もいるかもしれません。
たしかにレンタルで済ませば、そのぶん1回あたりの喪服にかかる費用は削減できます。しかし、夏場の葬儀に2〜3回出席すれば、レンタルを繰り返すより購入したほうが安上がりになるケースがほとんどです。
それに、最寄りのレンタル店に夏用の喪服がなかったとしたら、3シーズン用の喪服を着るしか方法がなくなります。猛暑に分厚い喪服を着ると、暑さに耐えきれず、熱中症になる危険性もあるのです。
そう考えると、やはり夏用の喪服をあらかじめ1着用意しておくのがよいでしょう。できるだけ費用を抑えたいのなら、相場価格より安く販売されていることが多いネット通販がおすすめです。
【男性編】喪服でできる暑さ対策とは
近年は地球温暖化が進み、年を重ねるごとに気温は上昇しています。そのため、夏用の喪服だけでは暑さを凌ぎきれないこともありますので、以下の暑さ対策もぜひ参考にしてください。
喪服でできる暑さ対策
- 黒い無地の扇子を持っていく
- ハンカチは汗拭き用として無地のものを追加
- 保冷剤や冷却シートを使う
- 冷感タイプの肌着を着用する
扇子は黒くて無地のものなら葬儀の場へ持ち込んでも構いません。涙を拭うようのハンカチ1枚では心もとないですから、汗拭き用に1枚追加し、汗が溜まる不快感を軽減しましょう。
また、見えない部分に冷却シートを貼ったり、保冷剤に無地の黒い布を巻いて持ち込むのもおすすめです。シャツの下に着る肌着は、冷感タイプや速乾性の物を選ぶと汗のベタつきが軽減されるので利用してみてください。
まとめ
夏場でもスーツを着用するサラリーマンの男性は暑さ慣れしているかもしれませんが、そうでないと3シーズン用の喪服で夏の葬儀へ出席するのはつらいものです。
当日に慌てることのないよう夏用の喪服を1着購入し、できる範囲で暑さ対策をして葬儀へ参列しましょう。水分をこまめに補給することも忘れないでください。